みなさん、手のケアはしていますか?
手のケアをしたいけど「いつ」「何を」「どんな方法」で行えばいいのか、悩まれている方が非常に多いと思います。
実は思ったよりも簡単に行える手のケアの仕方があります。なぜなら普段から左右の手をお互いに揉んであげるだけだからです。
私は手の治療や手作業のサポートをする仕事をしており、10年以上手に携わってきました。私自身も疲れたり疲労感を感じたときは、指圧やマッサージ、ストレッチを行っています。現在、ハンドマッサージの人気が急上昇していますね。
そこで今回の記事では、「専門家が教える手のマッサージ」をいつ、何を、どんな方法で行うのかまとめて解説します。
この記事を読んで、自信を持ってセルフケアができれば、手のマッサージの上級者になることができます。
結論から言うと保湿に加え、重要な手の筋肉をイメージをしながらセルフマッサージを行うことです。
それでは、具体的にいつ手のマッサージを行うべきか、どのような内容で、どの方法で行うべきか、解説します。
手のマッサージは入浴の時が効果的
まずは「いつ」行うか解説していきます。それはお風呂でお湯に浸かっているときに行うことです。
なぜならお湯に浸かっている時は血液の循環がとても良いからです。指の細部まで血行が促進され、代謝がよくなるだけでも老廃物が排出され、手や指のケアにもなっています。
ここでは筋肉のイメージをしてマッサージすることを目的としていますが、血行促進により筋に酸素や栄養素が運搬されれば凝りの防止にも繋がります。
ゆっくりお風呂に入っている時間がない方は、起床後や就寝前のマッサージでも問題ありません。温かいお湯に浸かっているほどの血行促進は期待できませんが、手のマッサージをすること自体が手指の血行を良くすることに繋がります。
筋の走行をイメージしたマッサージ
では「何を」すると効果的か解説していきます。
さきほども触れましたが、簡単に行える手のケアの方法は「互いの手をしっかり揉んであげる」ことです。
この「揉む=マッサージ」をすることがとても重要です。多くの方はクリームやオイル、ローションなどのケアグッズを塗り、保湿するだけで終わっているのでがないでしょうか?しかし、それでは効果が薄まってしまいます。より保湿を浸透させるため、保湿しながらハンドマッサージを施すことが最も効果があると言われています。
ハンドクリームやオイルなどのケアグッズは検索するだけで無数に出てきます。一般の方に向けた成分など科学的に解説がされるようになっており、より自分に合ったケアグッズは見つかったのではないでしょうか。
中には自分に合ったケアグッズを使用して保湿しながら、何となくマッサージしている方もいます。もちろん、それでも良いことですがここではワンランク上の「筋肉をイメージをしながら行うこと」を意識してケアしていきましょう。
手のひらにある内在筋をイメージする
ここからは少し専門的な話になっていきます。
マッサージする際にイメージする手の筋肉は、手のひらにある内在筋が非常に重要になります。内在筋とは手首よりも遠位に存在する指を動かすための筋肉の総称です。また内在筋は下記のように大きく4つに分かれています。
反対に外在筋も存在し、手首よりも近位から(腕から)指や手首を動かす筋肉の総称です。
内在筋は母指球筋、小指球筋、骨間筋、虫様筋から成る
母指球は親指の付け根の膨らみ、小指球は小指の外側の膨らみです。この2つの球筋はそれぞれ筋肉の集合体で、さらにいくつか細かい筋肉に分かれています。
筋肉の総称 | 筋肉の構成と名称 |
母指球筋 | 短母指外転筋、短母指屈筋、母指対立筋、母指内転筋 |
小指球筋 | 小指外転筋、短小指屈筋、小指対立筋、短掌筋 |
骨間筋 | 背側骨間筋、掌側骨間筋 |
虫様筋 | − |
筋肉の付着部をイメージする
次は、重要な筋肉がどこに付着しているのか、何となくでいいのでイメージできるようにしましょう。
そうすれば、「この筋肉は、このように動いて、こんな役割を果たしている」と理解が深まると思います。
筋肉の動きをイメージする
筋肉の付着している場所が何となくイメージできたら、次は実際に触ったり揉んでみましょう。
親指を動かした時、小指を動かした時、指を開いたり閉じたりした時、筋肉がモリッと膨らむのが分かると思います。
STEP03までイメージして筋肉に触れることができれば、あなたもハンドケアのプロになれるのではないでしょうか?
具体的な動きについては図解で示していますのでご参照ください。
マッサージのポイントは優しくつまむこと
ここからは「どんな方法」で行うか解説していきます。マッサージのポイントは優しくつまみ、いろんな方向に動かすことです。
グリグリ押しながら揉むことは決して悪いことではありません。ここでは筋肉の走行がイメージできた方が行う簡単に行える方法を説明していきます。筋肉をマッサージするには筋肉を触れていること感じることが重要です。指の筋肉は力こぶと違い、細くて小さいため、指先(指尖や指腹)に集中しないと触知しにくい構造となっています。
だからこそ手の構造や筋のイメージが大切です。イメージしながら優しくつまみ、マッサージをしていきましょう。まずはポイントを3つほど解説します。
適当に揉むより、筋肉の走行イメージをもつ
筋肉を触れるときは3点つまみを意識
筋肉をつまむときは親指と人差し指、中指の3つの指先で触れる「3点つまみ」を意識しましょう。
なぜなら小さい筋肉をホールドするためには2本ではなく3本のほうが安定するからです。下記に後述しますが、つまんだ後に行う運動がとても行いやすくなります。
ここでつまむ力(ピンチ力)が強いと筋肉に痛みを生じやすいため、反対の手で指を動かしながら、優しくつまむと動きが感じやすいです。
円運動と圧刺激でケア
つまんだ状態から円を描くように動かしたり、指圧による圧刺激を行うようにすることがポイントです。筋肉の集合体は比較的つまみやすいので、痛みのない範囲でしっかり運動しましょう。また触れにくい筋肉はポイントを指圧します。
赤い丸の部分が指圧ポイントです。骨の上に腱が走行しているイメージをもち、腱と腱の間をポイントで軽く押してみましょう。
押されている側の指を開いたり閉じたりするとより筋肉の収縮が分かります。手のひら側を親指で手の甲側を人差し指と中指で軽く指圧するとつまみやすく、指圧も行いやすいです。
マッサージ後のストレッチも重要
筋肉が運動や圧刺激により解れたあとは、しっかりストレッチを行うことが重要です。
ここでは反対の手で指を反らすことと中指を軸に人差し指と薬指を外側に開くようにのばしていくことがポイントです。ストレッチではありませんが、グーやパーなどの簡単な運動でも良いです。
これらのストレッチは、手のセルフマッサージ後に行うことで、手や腕の筋肉をほぐし、血液循環を改善するのに役立ちます。各ストレッチを行う際には、痛みや違和感が生じないように注意し、無理な力を加えないようにしましょう。また、継続的なストレッチと適度な休息を組み合わせることで、手の健康とパフォーマンスを向上させることができます。
まとめ
この記事では誰もが簡単に行える手のセルフケアを「いつ」「何を」「どのように」行うか解説してきました。
今までのポイントを意識してマッサージを行うことで、手の血液循環が促進され、手の疲労が軽減されます。ご自分の手の状態や快適な感じ方に合わせて、適度な力加減で行うようにしましょう。もちろん、クリームやオイルなどのケアグッズも忘れないように使用し保湿もしっかりしましょう。
私たちが日々何気なく使っている「手」… 私たちはこの手にいつも助けられています。自分自身でしっかり労ってあげてください。
筋肉をイメージできれば、あなたもハンドマッサージの上級者です。自分自身の手だけでなく、パートナーや友人など他人の手のケアを自信をもって行ってあげてください。
- 手のケアはケアグッズの使用だけでなく、筋肉の走行をイメージしたマッサージが有効。
- 中でも親指と小指の筋肉の集合体や腱と腱の間の筋肉などの内在筋を意識することが重要。
- 血液循環が良くなる入浴時に、イメージした筋肉を3点つまみを意識しながら、マッサージを行うと効果的。
- マッサージは筋肉に合わせて円運動と圧刺激を使い分け、最後にストレッチを行うことが重要。