知識

【手のケアに役立つ】3つの手の構造

重ねた手

こんにちはecoです。

わたしは手の治療を行って15年以上経ち、様々な手を治療していく中で癒やし、癒やされてきました。

プロフィール画像

みなさん、日常生活で私たちの重要なパートナーとなっている手について考えたことはありますか?

手は、私たちの運動や感覚、表現に加えて仕事、趣味など、さまざまな活動に欠かせない存在です。

しかし、その複雑な構造や機能について知っていることは意外と少ないかもしれません。

そこで、今回は「手の構造」について日々のセルフマッサージやハンドセラピーに役立つように、大きく3つに分けて専門的に解説していきます。

合わせて読みたい
マッサージする手
【保存版】専門家が教える!手のマッサージのポイント

続きを見る

手の内部には、骨や筋肉、腱、神経などが複雑に組み合わさっており、私たちが日常的に行っているさまざまな動作を可能にしています。

手の不思議な世界に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。それでは解説していきます。

理解する3つのポイント

  • 手の骨
  • 手の筋肉/腱
  • 手の神経

1.手には27個の骨がある

人体の基盤といえる骨。1つ目はまず手の骨に着目してみましょう。

手の骨ってどれだけあるか知っていますか?実は、手首から指先まで全部で27個あります。

え…そんなに骨あるの?

全ての骨を覚えるのは難しいため、重要な手のひら~手首周辺の骨を把握できれば十分です。

それでは指、手のひら、手首の3つのグループに分けて一つずつ説明します。

指の骨は末節骨、中節骨、基節骨の3つ

指には3つの骨があります。

手の骨

指の3つの骨

  • 指先から第1関節(DIP):末節骨
  • 第1~第2関節(PIP):中節骨
  • 第2~第3関節(MP):基節骨

これだけ骨が細かく存在し、それぞれ骨を動かすための関節があるからこそ人の手の動きが多彩なのです。

それぞれ人差し指(示指−じし)、なか指(中指ーちゅうし)、薬指(環指−かんし)、こ指(小指ーしょうし)の4つの指は末節骨ー中節骨ー基節骨の連結により成り立っています。また親指(母指)が短いのは中節骨がないからです。

専門名一般名
第Ⅰ指母指(ぼし)おやゆび
第Ⅱ指示指(じし)ひとさしゆび
第Ⅲ指中指(ちゅうし)なかゆび
第Ⅳ指環指(かんし)くすりゆび
第Ⅴ指小指(こゆび)こゆび
指の名称一覧

手のひらには5つの中手骨

手のひらに中手骨という5つの骨で構成されています。

中手骨の画像

中手骨は第3関節(MP)から手首(Wrist)までの骨をいいますが、手を構築する大切な骨になります。

なぜかというと、手の細かな動きを担う虫様筋や骨間筋という重要な筋肉が付着しているからです。

後ほど詳しく解説します。

手首は8つの小さな骨の集合体

手首には8つの小さな骨が集まってできています。

手根骨の名称

正確には骨の集合体と前腕の2本の骨(橈骨・尺骨)で手首(手関節)を構築しています。

その8つの骨とは、総称を手根骨といい、豆状骨、三角骨、月状骨、舟状骨、大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨に分けられます。

これらの8つの骨は小さな靱帯で強固に固定されながらも僅かな動きを伴い、手首の運動をスムースに行えるよう重要な役割を果たしています。

手首の違和感や痛みなど感じたときは、手根骨の中でも月状骨と舟状骨が原因になっていることが多いため覚えておくと良いでしょう。

2.多彩な動きを可能にする手の筋肉

ここまででたくさんの小さな骨が人の手を構築していることが理解できたと思います。

しかし、それらの骨・関節を動かすには曲げる筋肉(屈筋)と伸ばす筋肉(伸筋)が調整してはじめて繊細な動きが可能になってくるのです。

2つ目は筋肉について説明していますが、骨と同様にすべて覚えることは難しいです。

そのため、どんな筋肉があって、どんな動きをしているのかイメージしながらみていきましょう。

重要なのは大まかな分類を理解することです。

手の筋肉は内在筋と外在筋にわかれる

手の筋肉は手のひらの中にある内在筋と手首の外から指先に付着する外在筋に分かれます。

この表は、手の内在筋と外在筋を示しており、それぞれの筋肉の名称を列挙しています。

内在筋外在筋
母指対立筋(OP)総指伸筋(EDC)
母指内転筋(AP)橈側手根伸筋(ECR)
短母指屈筋(FPB)長掌筋(PL)
短母指伸筋(EPB)浅指屈筋(FDS)
小指伸筋(EDM)長指屈筋(FDP)
小指外転筋(ADM)尺側手根屈筋(FCR)
短小指屈筋(FDMB)尺側手根伸筋(ECR)
小指対立筋(ODM)長母指屈筋(FPL)
短母指外転筋(APB)長母指外転筋(APL)
短掌筋(PB)
掌側骨間筋(PI)
背側骨間筋(DI)
虫様筋(Lumb)
内在筋と外在筋を含む手の筋肉の表

これだけ手の筋肉がありますが…たくさんあり過ぎて、訳が分りませんよね。

これらはストレッチやマッサージをしてあげる、もしくはセルフマッサージする際に必要な知識なので特に覚えなくて良いです。

またこちらでは「手」に着目しているため、腕ー上肢(arm)に存在する外在筋よりも内在筋を意識してみていきましょう。

親指と小指を動かす筋肉の集合体がある

手の内在筋

上記のように親指を動かす筋肉の集合体を母指球筋、小指を動かす筋肉の集合体を小指球筋といいます。

母指球は手のひらにある親指の付け根にある膨らみのこと、小指球は母指球ほど膨らみはないですが、反対の小指の付け根の下部分のこと。

手の骨間筋

筋肉を分類すると以下のようになります。

筋肉の総称筋肉の名称
母指球筋短母指外転筋(APB)、短母指屈筋(FPB)、母指対立筋(OP)、母指内転筋(AP)
小指球筋小指外転筋(ADM)、短小指屈筋(FDMB)、小指対立筋(ODM)、短掌筋(PB)
骨間筋背側骨間筋(PI)、掌側骨間筋(DI)
虫様筋(lumb)
筋の総称と名称

母指球と小指球は互いに連結して動くことで「対立」という物品を把持するために必要な運動を担っていますので覚えておきましょう。

筋肉の名称には動き方が記載されている

ここでは各筋肉の名称に着目してみましょう。

中に「屈筋」「伸筋」「外転筋」「内転筋」「対立筋」と動きの名称が記載されているのに気付きましたか? 

動きの説明をすると以下のようになります。

筋肉動作
屈筋屈曲(曲がる)
伸筋伸展(伸びる)
外転筋外転(外側に広げる)
内転筋内転(内側に戻す)
対立筋対立(親指と他の指合わさる)
筋名と動作

どんな動きか分かれば、その筋肉が手のどこに付着しているか何となく理解できるようになります。

3.手の筋肉を動かすための神経

これまで基板となる手の骨や骨に付着する筋肉について説明しましたが、ある程度は理解できたのではないでしょうか?

筋肉を動かすためには脳からの電気刺激が必要となります。

3つ目は命令を受けた筋肉を動かすための神経について説明します。

手の神経で重要なのは、正中神経、尺骨神経、橈骨神経の3つです。

手の筋肉を動かす3つの神経

これまでの説明のなかで、手にはたくさんの筋肉があることは理解できましたね。

3つめは手の筋肉を動かす神経について説明します。あれだけたくさんの筋肉を動かすには、たくさんの神経が必要なんじゃないの?とイメージする人は多いと思います。

脊髄から分岐した神経が手の先に向かいながら枝分かれしますが、最終的に前腕あたりから先の筋肉を動かすのは、正中神経、尺骨神経、橈骨神経の3つだけなのです。

正中神経の走行と支配領域

尺骨神経の走行と支配領域

橈骨神経の走行と支配領域

神経支配筋
正中神経短母指外転筋、母指対立筋、短母指屈筋(浅頭)、虫様筋(橈側2つ)
尺骨神経母指内転筋、短母指屈筋(深頭)、背側・掌側骨間筋、虫様筋(尺側2つ)、小指球筋
橈骨神経外在筋(総指伸筋、橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、長母指外転筋、長・短母指伸筋、示指伸筋)
神経支配筋のまとめ

まとめ

以上が簡単な手の構造についてです。

これまで①手の骨、②手の筋肉、③手の神経を大まかに説明しましたが、理解できましたか?

中でも覚えておきたい重要な部分を以下にまとめました。

記事のまとめ

  • 中でも覚えておきたい手の骨は、手の細かな動きを担う虫様筋や骨間筋という重要な筋肉が付着している中手骨
  • 手の筋肉の中でも母指球と小指球という筋肉の集合体があること
  • 手の神経は正中神経、尺骨神経、橈骨神経の3つだけ

「手の構造」について日々のセルフマッサージやハンドセラピーに役立つように、3つに分けて専門的に解説してきました。

これまでの手の構造の説明は、あくまでもさわり程度の知識になります。

ワンランク上のセルフマッサージを行いたい方やハンドセラピーの資格を考えている方は、この「知っておくべき構造」はまとめの3つはしっかり覚えておきましょう。

Follow me!

  • この記事を書いた人
ecoイラスト

ecoさん

国家資格を取得後、人の手を治療して15年。様々な手と出会い、癒やし、癒やされてきました。手の魅力をはじめ、手当ての重要性、ハンドケアやハンドセラピーについての情報を発信中。身体心理学者である山口創さん著の「手の治癒力」が愛読書。

-知識

PAGE TOP